写真は“真を写す”と書きますが、実のところ“光画”つまり光で描く画と捉える方がよいと思っています。それほど、「光を読む」ことは写真を撮る際には大切です。ここでは、【スポットライトを探して撮ろう】というテーマを取り上げてみます。
日の出直後の湖畔で
@静岡県浜松・佐鳴湖
スポットライトで主題が照らされる状況は、朝の斜光の時間帯が多いのですが、例では、日の出直後まだ太陽の位置が低い時間にほぼ真横から光が射し、ちょうど開きかけの桜花の奥の部分だけが明るくなったので、あたかも花の内部から発光しているような不思議な感じになりました。
撮るときのコツは、最も明るい所が真っ白にならない露出に合わせることと、背景が暗い場所を選ぶことです。(この例ではまだ陽が当たっていない山の斜面が背景になっています)
よく目を凝らして見ていると、こんなシーンも発見できて、早朝の寒さも忘れて嬉しくなってしまいます。
朝散歩の途中に
@London
散歩の途中、公園を抜けて通りに出ようとしたら、雲の切れ間から陽が射して建物の一部(ステーショナリー店)のみ明るくなっていたという状況です。
こういう場合は、いいと思ったらすぐ撮る。陽が当たってないところが例え暗くなったりシルエットになったりしたとしても、あくまでも陽が当たっている明るいところに露出を合わせることです。
iPhoneのカメラアプリでも露出の調節ができますので、試してみてください。
スナップ写真の撮り方は別記事でもご紹介していますので、参考にしてみてくださいね。
昼、森の中で
@愛知県・岩古谷山
@長野県・小鳥の森
最初に、「スポットライトができやすいのは朝の斜光が多い」と書きましたが、晴れの森の中は木漏れ日により昼間でもスポットライトが当たりやすい状況になります。
1枚目の例は、暗い山道を登っていますが光がこの草にだけ当たっていて、背景の暗い森から浮かびあがっていたのと、連なる葉の形が面白いと思って撮った1枚です。特に目立つ色やキレイな花でなくても、このように背景との明暗差で主題を浮かび上がらせることができます。
2枚目の例は、笹の先端にのみ光が当たっていますが、これも背景が笹原ではなく、木漏れ日の落ちる道で、それをぼかすことで、主題を浮かび上がらせ奥行き感をだしています。構図でいうと画面の対角線上、やや手前にもっとも見せたい部分を配しているのもポイントです。
屋内から外を見て
@飯田
これはちょっと変わった例ですが、古民家を利用した料理民宿の食堂から外を眺めていたら、“干し柿はシルエットになっているのに何故か?照る照る坊主にだけスポットが当たっているという瞬間”です。
これは、建物の構造と干し柿と照る照る坊主の位置関係+光の角度が偶々ぴったり合ってできた偶然の賜物。ここには20年以上は通っているのですが、後にも先にも一度しか出会えないというシチュエーションでした。
写真は過ぎ去ってしまうと2度と訪れない“今”という瞬間を切り取り、定着するメディアですから、その一瞬一瞬と出会いを大切にしたいですね。
室内のテーブル上で
@静岡県浜松
最後は、室内でスポットライトを見つけ、それを利用して撮る方法です。
この例は、何か特別なライティングをしているのか、どうやって撮っているのか、と思いませんか?
これ実は僕の自宅のダイニングテーブルなのですが、このテーブルには北側の窓から朝陽が射しこみます。
そこに、郷里の母が送ってきた桜の押し花を透かせて撮るために、ガラスの小さなアクセサリーに立てかけて、
朝の斜光の中、それも背景が暗くなるような場所を選んで、置いて撮ったものです。何も特別なことはしていません。
このように自宅や身近な場所であっても、天気や光の状態を読み、時にはカーテンを開け閉めするなどして工夫すれば、印象の強い画を撮ることができます。
※掲載している写真はすべてtabby撮影のものです。----------------------------------------------------
【写真家tabbyの活動】
47年以上に渡り撮影を継続し、その撮影枚数は10万枚を超える。
◆「kindle写真集の出版」
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■写真集第6弾(独自出版)
◆「写真展とネット掲載」
■写真展(個展)を20回以上開催
■2005年よりFlickrをはじめ、現在5,000枚ほど掲載
■Gettyにて写真データーを販売【175点】
■fotofever paris 2014年より3年連続出展 *fotofever paris とは、 世界最大の写真の見本市、イベントであるパリフォトと同時期にルーブル美術館の地下イベント会場であるルーブル・カローセルで開かれる。約100のギャラリーや出版社(日本からは8社)が出展。
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